能登地震から2年が経ち、まだまだ復興途中ではありますが、またしても正月休み冷めきらぬ日に、今度は鳥取・島根で最大深度5強の地震が発生してしまいました。この地震ではけが人が出ただけでなく、インフラとして上水道の破損による断水などが発生し、やはり日常生活に影響が出る被害が出てしまいました。
今回の鳥取・島根の地震では「長周期地震動」も観測され、鳥取県西部では4段階ある階級の4と最も高い階級となりました。

https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/jishin/ltpgm_explain/about_level.html
長周期地震動は、振動の波の周期が大きく、ガタガタ!とゆれるというより、ユッサユッサと揺さぶられるような揺れを感じるわけですが、周期が長い地震動波ということで伝搬距離は非常に遠くまで到達するので、震源に遠いところでも危険な揺れになります。
また、大きく長い揺れなので、建物の高さが高ければ高いほど影響が大きく、高層ビルなどでは室内の物品が右から左へ飛んでいくような動きをしてしまうこともあります。でも、勘違いしないでほしいのは、2階建てくらいの木造住宅であれば高層建築ではないから問題ないか?といえば、とんでもなく影響が大きいということです。
この「長周期地震動」の発生メカニズムですが、先日SNS上でたいへんわかりやすい説明を見かけましたのでご紹介しておきます。鹿島建設株式会社のホームページで公開されている、
「耐震診断・耐震補強」
という項目です。ここで紹介されている以下の図をご覧ください。

https://www.kajima.co.jp/tech/seismic/higai/151100.html
この図は、建物が建っている土地状況を説明したものですが、この図は地盤というものを「マクロ的」に表現しています。私が問題にしたいのは、この図が示す通り、長周期地震動が発生するメカニズムというものが、非常に広大かつ深い地盤面の話しであり、それらが全体としてどのように挙動するか?を示しているところです。
よく、地盤改良などで地盤面を硬くすることは耐震性においても有利であるということをネット界隈でも見聞きします。そのこと自体を否定するつもりはありませんが、地盤改良しないと耐震性がアップしないという論については正直、否定的です。地盤改良や地盤補強は、上部構造を支えることができる「地耐力」を担保することが最大の目的であり、そのために地盤を硬くすることで地耐力をアップさせるわけですし、それが望めない場合には地下の硬い層まで杭を打ってそれで建物を支えることをします。
ですが、その深さは、一般的な地盤改良では数メートルまで(深くても10m程度)ですし、杭に至って継ぎ足していくことで百メートルを超える大深度のものもありますが、その程度の深さです。
ですが、地震の震源は地中深く、浅いものでも数キロ、数十キロの単位であり、建物基礎や地盤を語るレベルとはオーダーがちがいます。この点を理解できていれば、地盤面に対してなんらかの補強、改良を行うということには相当な限界があり、それは、地震対応できるレベルではないことは想像できると思われます。
「地盤改良を行えば耐震性がアップする」というのは、マクロ的な発想で地震を考えた場合には実にナンセンスな議論です。むしろ、地盤改良を行うことで建物荷重をしっかりと地盤面に伝達させ、その結果、定常な状態で地盤が変形しない(沈降など)ということが重要であり、耐震性に対してはごく表層の振動はの増幅を抑える結果にしかならないということを認識すべきです。
となれば、やはり建物の耐震性というものを十分に吟味することが必要であり、揺れても倒壊には至らないという発想は、生命と財産を守るという視点ではたいへん重要なことではないか?と考えます。


